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血液製剤とリスク

血液製剤とリスクここでは血液製剤についての専門知識への理解を深めていきましょう。

血液製剤とは?

血液製剤とは?日本で現在使用されている血液製剤は、血漿分画製剤と輸血用血液製剤の2種類あります。血漿分画製剤には数万人の血液凝固第Ⅷ因子を集めた血友病Aの患者に使用される血症凝固第Ⅷ因子製剤、同じく数万人の血漿の中からアルプミンのみを抽出し大量出血の際や肝臓病、腎臓病の治療に使用されるアルブミン製剤、そして免疫グロブリンを集めたもので抗生剤の効かない患者やB型肝炎ウイルスに対して使用される免疫グロブリン製剤の3種類があります。
一方で輸血用血液製剤には全血製剤と血液成分製剤の2種類があります。

看護師が血液製剤を使用する場合

看護師が血液製剤を使用する場合血液製剤の使用にあたりまず重要なことは患者への概要説明です。患者の命を救うためには血液製剤が必要ですが、同時に感染症や副作用のリスクも伴うため患者へ事前に説明する責任があります。これは血液製剤だけでなく医療業務や投薬全てにおいて言えることですが、血液製剤を使用する際は「血液製剤の必要性」と「血液製剤使用に伴う副作用や感染症などのあらゆるリスク」について情報開示および説明し、患者に理解してもらう必要があります。また血液製剤は日本製だけではないため、もしも海外製を使用するのであれば説明時に同意書にサインしてもらう必要があります。
そしてもう一つ大切なのがこれらの記録です。血液製剤を使用した日付や患者の氏名さらには使用した血液製剤のロット番号も情報は全て記録する必要があります。この記録は万が一副作用を発症したり将来的なリスクが起こった際の追跡や報告に使用されます。また血液製剤の投薬についての観察記録も必要となります。薬剤や疾患によって内容は異なりますが、副作用など異変があった際に経過などを国へ報告しなければならずその際に使用されます。

日本以外の血液製剤

日本以外の血液製剤血液製剤は全てが日本製とは限りません。日本国内だけで血液製剤供給量を考えると、輸血用血液製剤が自給率100パーセントに対して、血漿分画製剤は50パーセントほどで半分は海外製品を使用しています。これは薬剤のラベルに記載されていますが現在では世界で統一されている基準として血液製剤の基盤となる血液を採血した国や採血方法などを明記することになっています。海外の血液製剤もすべて日本の基準をクリアしていますが、中には嫌がる患者もいるため明記されるようになっています。

血液製剤のリスク

血液製剤のリスク上記で述べたように患者に対して様々な配慮が必要な理由としては、日本の血液製剤の元となる血液は全て献血によるものですが血液が集められる経緯は様々であり、安全対策を施しているものの100パーセント安全とは言えないためです。現状で最大限の安全対策をしたとしてもまだ見つかっていない未知の感染症やウインドウ・ピリオドなどの要因から患者に対して予めリスクを伴う可能性も伝えなければならないのです。

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